ネットの普及により、ネット上での誹謗中傷や営業妨害の問題が指摘されるようになりました。
一昔前までは、ネットは無視しておけばよいという声が多数でしたが、現在ではネット上のネガティブな情報を削除したいというニーズが企業・個人双方共に高まっています。
このニーズの高まりを受け、インターネット上で「削除代行」「風評被害対策」などと検索すると、「書き込み削除できます!」「削除成功率98%」といった広告が多数表示され、多くの業者がこの削除ビジネスに参入していることが見て取れます。
ネット上で広告を行っている削除代行業者、風評被害対策業者の中には、費用が高額である、マッチポンプの疑いがある、強引な営業を行う、など問題のある業者もあり、当事務所でもそのような悪徳業者に関する相談を受けておりました。⇒違法な風評対策事業者による二次被害
しかし、そもそもの問題として、ネット記事の削除はサイト運営者側の「表現の自由」と真正面から対立するものであり、法的紛争(とネット)に関する専門的な知見と資格がない者が営利目的で行うには危険が高く、弁護士法によって弁護士以外による関与が禁止されている類型の行為です。
今回、当事務所が原告代理人となり風評対策事業者の行為の違法性を理由に支払い済み報酬の返金等を求めていた訴訟について、東京地方裁判所が原告側の主張を認め、支払い済みの報酬を返還せよとの判決を言い渡しました。
東京地方裁判所の判決では、風評対策事業者が当事者から依頼を受けて削除請求、削除依頼を行うことは弁護士法に違反すること、支払い済みの報酬については全額返金しなければならないこと、が明確に認められました。
この訴訟において、被告の風評対策事業者側は、2chコピーサイトなど簡易な削除フォームからの情報提供を行うに過ぎない行為であって、弁護士法違反には当たらないと反論しておりましたが、この反論は退けられています。この判決では、「ネット上の記事を削除する」という目的の契約自体が弁護士でなければできないものであるとされました。
よって、本判決を前提にすれば、ネット上の広告において「削除」と唄っている弁護士以外の事業者に関しては、すべて弁護士法違反の疑いが強く、また、広告においては巧妙に「対策」等の表現によって「削除」という表現を避けている場合でも、実際に依頼をした場合には記事の削除がなされているケースも同様に弁護士法違反の行為になると言え、そのような業者に支払ってしまった報酬は返金を求めることができると言えます。
特に、企業の場合、違法な業者に金銭を不法に支払ってしまったということはコンプライアンス上の問題ともなり得ます。今後の関係を断ち切るためにも契約解除、返金請求を行うことを当事務所としてはお勧めしております。
料金対策業者への返金請求をお任せいただく場合の弁護士費用
着手金:無料
成功報酬金:回収金額の33%(税込)