ネットリテラシー

子どもたちへのネットリテラシー教育の必要性

  • 執筆者:弁護士船越雄一

ネットリテラシー教育の必要性

私がこれまでインターネット上の誹謗中傷対策業務に携わってきて感じていることは、子どもたちへのネットリテラシー教育の必要性です。

子どもたちというのは、インターネットに触れ、自分で検索や投稿等をし始める小学生から、高校生くらいまでを含みます。これくらいの年代は、年齢による差や個人差もあると思いますが、インターネットの利用において自分が他人を傷つけることがあるということを十分に理解できていない状況であると思います。また、インターネット上の投稿などについては大した問題ではないという意識があるのかもしれません。

当事務所でご相談いただいたケースでも、子どもが友達の悪口を投稿してしまったがどうしたらいいのかというご相談や、発信者情報開示手続きを進めていったら投稿者が未成年の子どもだったというケースなどがあります。

このような現状は、早急に変えていかなければならない状況であると思っていますが、致し方ない面もあるとも思っています。それは、学校や家庭等でインターネット利用によってどのような責任を負うことがあるのか、どのような問題が生じるのかなど、十分なネットリテラシー教育が行われていないからです。

子どもを加害者にしないために

最近では、学校の授業でプログラミングの授業があったり、タブレットを使用して授業を行う学校もあるようで、インターネットと子どもたちが触れ合う環境を作っているにもかかわらず、利用上の注意事項ともいうべきネットリテラシー教育はおろそかになっている印象です。

この現状について、学校の先生方が悪いというわけでもありません。学校の先生は日々の通常授業等ですでに激務に追われているでしょうから、そこまでする余裕がなかなかないという状況もありましょうし、そもそも何を教えていいかわからないということもあると思います。

本件記事末尾のURLサイトのように、これまで総務省でもインターネット上のトラブル事例集をまとめて報告し、普及活動を行ってきておりますが、基本的な視点は子どもたちを被害者にしないように、インターネット上の危険から守るための内容が多く、子どもたちを加害者にしないためにという視点は少し弱いように感じます。

現状の取り組み

もっとも、この総務省のサイト上でも、「インターネットトラブル事例集 指導案」の中で、学校教育における指導案として「指導案2『書き込みやメールによる誹謗中傷といじめ』」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000311575.pdf、平成26年度版)を公開しています。また、実際に学校の先生が作成した指導案も掲載されています。

このように、ネットリテラシー教育について十分ではない状況ではありますが、国も教育現場も何もしていないわけではなく、努力はしている状況であると思います。

私は、このような国や各教育現場の試みの中に、インターネット上の問題を専門的に扱ってきた弁護士として参加し、何かご協力できることはないかと考えています。

とはいえ、私も企業でのネットリテラシーの研修などの経験はありますが、教育分野についてはまだなく、どのように子どもたちにネットリテラシー教育をしたら効果的であるのか、研究していかなければならない状況です。この問題については、今後、本サイトで継続的にご報告できればと考えています。

そして、今後、教育業界などとも協力して取り組んでいける機会ができればとも考えています。

[aside type=”normal”]総務省:インターネットトラブル事例集ダウンロードページ
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/jireishu.html [/aside]

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