ネットリテラシー

ペアレンタルコントロールとは?

  • 執筆者:弁護士船越雄一

子どもを守るための保護者による利用制限

スマートフォンや携帯ゲーム機の流行により,子どもでも容易にインターネットを利用することができる時代となりました。

このような時代は便利である一方弊害も多々あります。これまでの例でいえば,ゲームアプリ内で課金をしすぎて高額請求をされたなどの高額請求問題,アダルトサイトなどの有害サイトへのアクセスによる教育上の問題,有害サイトによる詐欺被害など様々な弊害が生じてきました。

もっとも,これらの問題については,対策も講じられてきました。例えば,高額請求問題については,プロバイダやアプリ制作企業などが課金の前の保護者の承認を義務付けたり,上限金額を設定するなどして高額利用を未然に防ぐ取り組みが行われています。また,通信機器やソフトウェアに有害サイトへのアクセス制限をかける機能を備え,利用制限をかけることができるようにするなどの対策も講じられています。

このような対策のうち,親が子どもを守るために有害サイトへのアクセスを制限したり,さらには通信の利用時間帯を制限したりすること,あるいはそのような対策を可能とする仕組みや取り組みのことを『ペアレンタルコントロール』と一般に呼んでいます。

子どもを被害者にしないために

ペアレンタルコントロールの第一次的な目的は,やはり子どもを被害者にしないようにすることでしょう。

インターネット上では恐ろしい数のサイトがあり,その中にはこれまた恐ろしい数の有害サイトがありますので,多感な時期の子どもが閲覧しては子どもに対して教育上,倫理上,悪影響を及ぼす可能性があります。それを未然に防ぐためには,通信規制をかけるのがベストです。

また,最近では,子どもがスマートフォン等を使いすぎてしまい,ネット依存に陥るケースも問題視されています。このような事態を防ぐには,そもそも通信機器を取り上げるという手もありますが,それでは子どもが反発するでしょう。

そこで,インターネット利用可能時間を調整できる機能を通信機器(ルーターなども含め)に搭載したものも登場しています。かなり細かく設定できる機器もあるようで,この機能を利用すれば,子どもが自分の部屋で利用していても使い過ぎによる影響を防ぐことができそうです。

このように,子どもにとっては窮屈かもしれませんが,親として子どもを守るための手段は様々用意されていますので,活用されていないという方はぜひ活用を検討された方がよいでしょう。

子どもを守ることがひいては親をも守ることになる

子どもを有害サイトなどから守ることは,親権者として監督責任のある親をも守ることにもつながると思います。

例えば,子どもがインターネットで有料サイトを閲覧する等により,高額な請求をされたという場合,違法なサイトであれば請求を無視するなどで対応可能なものもありますが,正規の請求の場合には支払い義務が発生してしまうことになります。そのような場合,子どもがやったことなので関係ないではすみませんので,結局親が経済的負担をすることになるでしょう。

また,ネット依存などにより子どもの精神面に悪影響が生じてしまえば,治療等の経済的負担とともに,子どもの回復のための環境整備など様々な労力がかかることも予想できます。これは単に経済的負担で解決できるものでもないため,親にとって相当な負担になってしまうでしょう。

このような様々な負担が親にのしかかってきますので,ペアレンタルコントロールによる予防は非常に有益であろうと考えられます。

設定方法がやや複雑なものもあり,面倒と思われるかもしれませんが,子どものため,ひいては親である自分のために労を惜しまず,導入をご検討されてもよいのではないかと思います。

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