子どもたちはいつでも加害者になってしまう環境にいます
スマートフォンが流通した現在では、中学生、高校生だけでなく、小学生でもスマートフォンを利用し、インターネットを利用しています。
子どもたちをインターネットの利用に伴う危険から守るための仕組みなどについては様々用意されており、ペアレンタルコントロールのお話をしたコラムにてご説明した通りです。
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しかし、これらはあくまで子どもが被害者にならないようにするための仕組みであり、加害者になってしまうことを防ぐためのものではありません。
スマートフォンの設定を最大限生かせば、SNS等への接続、匿名掲示板への接続を一切禁止することもできるのだろうと思いますが、それでは子どもとしてもスマートフォンを所持する意味がなく、そこまでするくらいであれば、そもそも買い与えないでしょう。そうだとすると、スマートフォンの利用を子どもにある程度許すということは、通常の利用であれば危険がそれほどないSNSへの接続などは認めているのが一般的かと思います。
そうしますと、スマートフォンを所持する子どもの多くは、SNS等への情報の発信を簡単にできてしまいますので、その情報により他人の権利を侵害してしまい、加害者となってしまう可能性があるのです。
どのような問題になってしまうのか
では、例えば、子どもが友達の悪口などをSNSに投稿してしまったような場合、どのような問題になるのでしょうか。
投稿の内容によりますが、法律上の問題としては、その友達に対する名誉毀損や侮辱にあたる場合があり、慰謝料等の損害賠償請求を受ける可能性だけでなく、名誉毀損罪、侮辱罪として刑事事件化してしまうこともあります。
また、友達のプライベートなことを投稿してしまえば、プライバシー権侵害となりますし、友達が写った写真を勝手に投稿すれば肖像権侵害という問題にもなり、名誉毀損などと同様に慰謝料等の損害賠償請求を受ける可能性があります。
そして、上記のような法的責任だけでなく、友達の悪口を投稿したことが学校の他の友達にばれてしまい、肩身の狭い思いをするという事実上の問題も起きえます。
投稿は簡単にできてしまうものなのですが、それにより生じる責任は非常に重いものとなっておりますので、子どものスマートフォンの利用状況については親権者がしっかりと監視し、子どもを守っていってあげなければなりません。
子どもたちへのネットリテラシー教育の必要性
親権者が守るとしても、四六時中監視していることもできません。現によくあるのが、親が見ていないときにスマートフォンを利用し、他人の悪口などを書いていたというケースですので、親が直接防ぐということは難しいと思われます。そうしますと、子ども自身に、他人の権利を侵害するような投稿をしないよう意識させる必要があります。
他方、子どもたちは、スマートフォンを買い与えられ、親から悪いことに使ってはダメという程度のことは言われるでしょうが、実際にどういう問題となってしまうのか十分に理解せず使用している状況だと思います。子どもたちによる他人の権利を侵害する投稿は、他人の権利を侵害するとはどういうことなのか、どんな問題になってしまうのかなど情報や知識がないために安易に行われてしまっていることがほとんどです。
このような状況から考えますと、子どもたちに意識を芽生えさせるために、以前私が別のコラムでもお伝えしたとおり、やはり子どもたちへのネットリテラシー教育が必要であると考えております。そして、子どもたちへ教育をするためにも、親権者や学校の先生などが必要な情報や知識を得ておく必要があります。
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そのような情報や知識を得ることはそれほど難しいことではなく、それこそインターネットでお調べいただければある程度の情報は集められます。その際に、当事務所ホームページの各種記事でも皆さまへの情報提供を心掛けておりますので、併せてご参照いただければ幸いでございます。
法教育、ネットリテラシー出張講義も実施しています
また、学校関係者向けとして、学生に対する法教育に関する講演などもお受けしておりますので、ぜひ一度お問い合わせいただければ幸いでございます。なお、講演実績として、インターネットが絡む消費者問題を中心とした講演を埼玉県内の高校3年生向けの授業として行いました。