IT法

電子契約における「本書2通を作成し~」の表現

  • 執筆者:弁護士松本 紘明

電子契約書の末尾をどうするべきか

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松本紘明

契約書の最後にある「本契約の成立を証するため、本書2通を作成し~」などの表現は電子契約のときは修正しないといけませんね。

紙の契約書ではなく電子契約を締結することが多くなってきました。

当事務所でも数年前から弁護士ドットコム株式会社が提供するクラウドサインを導入しています。

契約の相手方から電子契約を求められたり、こちらから電子契約を求める場合に契約書の冒頭または末尾によく見る「本契約の成立を証するため、本書2通を作成し~」の表現はそのままでよいのでしょうか。どのようにすべきかというご相談を度々お受けすることがあります。

結論

正解はこれです。

本契約の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙双方が1部ずつを保有する。ただし、本契約を電子契約にて締結した場合には、本契約の成立を証するため、電子契約書ファイルを作成し、それぞれ電子署名を行う。この場合、電子データである電子契約書ファイルを原本とし、同ファイルを印刷した文書はその写しとする。

この表記に変更すれば紙の契約書でも電子契約でも両方に対応することが可能です。

電子契約の例外に注意

ただし、法律上紙の契約書が必要な場合や紙の交付を要するケースも存在します。
例えば、
・定期借地契約
・定期建物賃貸借契約
・投資信託契約の約款
などでは書面での合意が必要ですし、

・訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売、特定継続的役務提供、業務提供誘因販売取引における書面交付
・消費者向けの下請法上、下請会社の承諾がなければ親事業者が下請事業者に取引の具体的事項を記載した書面交付
などでは書面の交付が必要となります。

したがいまして、上記類型の契約では注意してください。

電子契約で印紙はどうなる?

電子契約の場合、印紙の貼付は不要です。

また、結論記載の表現においては「印刷した文書は写し」ということを明記していますので印紙税に関する税務署からの指摘があったとしても、回避することができる表現としています。


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電子契約や脱ハンコなど書類の電子化に関する書籍を執筆しました

【2021.10.1追記】
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