クリニックや病院の経営にとって、Googleのクチコミは大きな影響があります。
患者さんから感謝の言葉が投稿されることでプラスになる面もありますが、逆に悪い口コミがなされて経営に悪影響がでるケースもあります。
競合他社による誹謗中傷がなされるケースや、違法な対策業者が自作自演で悪いクチコミを投稿して「削除します」と営業電話をかけてくるなどの話も聞きます。
Googleの対策については運用の変更も大きく、インターネット上では古い情報や誤った情報も流れている状況です。
そこで、現在の最新の状況や、クリニック側がとるべき対策、投稿した相手を調べるための発信者情報開示の実情などについて、弊所内でもGoogle対策を数多く手掛けている船越雄一弁護士に聞いてみましょう。
弁護士に聞く最新Googleマップ対策
どんな相談が?
病院やクリニックのグーグルマップに悪い口コミが投稿されることは最近も多いのでしょうか?
ご相談は増加傾向です。
クリニックさんからのご相談が多い印象です。
最近は口コミを確認してから来院される方も多いようですし、口コミの影響で売上が激減したという話も珍しくありません。
もし最近売上がおかしいぞということでしたらインターネットを確認してみてください。
当事務所では病院やクリニックに代わり定期的なモニタリングサービスも行っています。
皆さんどのような口コミについて相談されているのですか?
サービスに対する不平不満やスタッフへの誹謗中傷です。
全くの事実無根でご相談される方もいます。
競業他社がやっているのでないかと疑わしい口コミの相談も見受けられます。
どのような対策が有効か?
クリニックの先生は悪い口コミに対してどのような対処を求めることが多いですか?
削除請求や投稿者の特定です。
だいたい予測がついているという前提でその方との間で削除交渉や来院禁止をご相談頂くこともあります。
顧問弁護士の方がいるクリニックや病院からもIT系が強くないという理由で相談頂くことにあります。
弁護士としてはどのような対処法をおすすめしていますか?
まず口コミの内容確認を行い、法的に対処できる内容かどうか検討します。
できるのであれば削除請求、削除請求ではいたちごっこになりそうな場合には発信者情報開示請求をおすすめします。
法的に対処が難しそうなものについてはモニタリングによる継続的監視や
信用維持を目的に口コミへの返信アドバイスを差し上げたりもしています。
やってはいけないNG対応の例
対処法としてやってはいけないことはありますか?
口コミへの返信は要注意です。
感情的になってしまうことは理解できるのですが冷静に対処することが一番です。
また、情報開示を検討されている場合、削除請求をしてしまうと
情報が失われてしまうこともありますので要注意です。
発信者情報開示請求をおすすめしないケースもありますか?
削除請求だけではいつまた同じ人に書き込みされるかわかりません。
そのため、法的に対処できる場合には、費用面が許せば削除請求との違いをご説明し基本的には開示請求をおすすめしています。
マイビジネスのオーナー登録のメリット
グーグルマップのマイビジネスに登録されている方は多いですか?
半々くらいの印象です
マイビジネスに登録していると対処法は違いますか?
オーナー権限で削除請求する場合には削除理由の選択肢が増えます。
オーナー権限で削除請求すると消える可能性は高いですか?
感覚にはなりますが若干高い印象です。
発信者情報開示の方法、期間
弁護士に依頼してからどのくらいで投稿者が分かりますか?
早くて9か月、だいたい1年くらいです。
具体的はどのような手続ですか?
日本か米国で裁判手続を行います。
口コミを投稿した人が特定できた場合、それ以降皆さんどのように対処されているのでしょうか?
損害賠償請求するときもあれば、二度と投稿、接触、来院などしないよう示談交渉することもあります。
投稿が残っている場合や他の投稿も認めた場合にはそれらを削除してもらうよう交渉することもあります。
弁護士費用や成功確率は?
弁護士費用はいくらくらいかかりますか?
複数回の裁判をする必要があることが多いため、投稿者を特定するまでで100万円弱かかります。
弊所にご依頼をいただく場合の料金の目安を公開していますので併せてご確認ください。
成功するケース、失敗するケース割合はそれぞれどれくらいですか?
当事務所では法的に対処可能と思われるものを選別しご依頼をお受けしています。
投稿内容によるところが大きいですしご相談は無料ですのでまずはご相談頂くことが一番かと思います。
手続開始以降のリスクとしては、情報の保存期間切れ、技術上の問題で特定できないケースなどが考えられますが割合はそれほど多くない印象です。
弁護士として相談者におすすめしたいことはありますか?
発信者情報開示請求は情報の保存期間に一番気を遣います。
ご相談は一日でも早い方がいいと考えています。
気になる口コミがあればすぐに相談してほしいです。
相談・依頼する弁護士の選び方
グーグルマップの発信者情報開示請求はどのような弁護士に依頼すべきですか?
日本で裁判手続を行う場合、裁判所の管轄が東京になります。
日当交通費などを考えると東京近郊の事務所がおすすめです。
最近はオンライン相談も急増しています。
専門的な手続でもありこれまで数多くの案件を取り扱っている事務所がよいでしょう。
法的対応になじまないものも
法的に対処が難しい場合はどのように対応していますか?
継続的モニタリングやマイビジネスのアカウントを共有してもらいアカウント管理をしています。
オーナー権限があれば口コミが投稿されると通知が届くので即時に対応可能です。
法的手続は難しいといった場合には返信方法のアドバイスを差し上げています。
口コミの原因は何らかのトラブルである場合も多く、クレーム対応、労務トラブルなど基本的な法務対応も併せて行っています。
2022年には改正プロバイダ責任制限法が施行
発信者情報開示請求について法改正があり簡単になるという話も聞きますが、影響はありますか?
改正プロバイダ責任制限法が2021年4月に成立しています。改正法の施行は2022年8月頃と言われており、施行後は新制度に基づく発信者情報開示請求も可能です。しかし、新制度はサイト管理者やプロバイダ側の協力に委ねられている部分も大きく、この手続きを利用した場合にグーグル側がどのような対応を行ってくれるのかまだわかりません。そこで、当事務所では新制度施行後もしばらくは従来の手続きを併用する方法を検討しています。