2021年4月に成立した改正プロバイダ責任制限法の施行日が2022年10月1日に決定しました。
また、開示対象となる情報の詳細などについて定める総務省令案がパブリックコメントにかかっていたところですが、2022年5月27日にその結果を踏まえて修正された最終的な総務省令も公布されました。
これによりいよいよ改正プロバイダ責任制限法の全体像が確定し、あとは施行を待つのみとなりました。
改正法が成立して以降、折に触れて改正内容についての解説資料を公開して参りましたが、公布された総務省令の内容を踏まえて最終版を公開させていただきます。
なお、総務省令案からの重要な変更点としては次の2点です。
侵害関連通信に関する直近要件の撤廃
ログイン型において開示対象となる「侵害関連通信」について、案の段階では権利侵害投稿の直近になされたものに限る、さらにログイン通信に関しては投稿前になされたものに限るという条文になっていましたが、これは改められました。
最終的な総務省令では権利侵害通信と「相当の関連性」を有する範囲の一定の通信が「侵害関連通信」と規定されています。
これにより、投稿後のログインからの発信者特定など、現行実務でも広く行われている投稿直前以外のログイン通信からの発信者特定の路が残ったことになります。
省令4条のバグ?の修正
新法5条1項3号ロによる特定発信者情報の開示請求の要件につき、法の趣旨としては”発信者の住所氏名が分からない場合に”という想定があったものと思われますが、総務省令案の段階では規定の仕方が悪く、住所と氏名の片方のみを保有している場合には特定発信者情報の開示が認められないのではないかと思える条文になっていました。
Facebookなど実名が表示されているが住所がわからないケースで大きな問題になると思われましたが、これは最終的な総務省令では無事修正され、住所や氏名の片方のみしか保有していない場合には、特定発信者情報の開示請求が可能であることが明確化されています。
全体的な解説はこちらのスライドで
「相当の関連性」とは何か?など実務上の予想される争点や、全体的な改正内容の解説はこちらの資料をご覧ください。